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筋肉量を保つ大切さを考える

日常の身体活動を支える筋肉、若い頃は筋肉不足など気にならなかった方も、年齢を重ねるごとに、筋肉量は低下しやすくなっていきます。そのことにより、身体活動のみならず日常生活にまで影響が出てくることが分かっています。今回は筋肉の大切さと、食事により筋肉量を保つ方法をお伝えします。

Ⅰ.筋肉の働き
①筋肉の肥大によるエネルギー消費量の増加と糖質の利用効率アップで高血糖が改善
1日のエネルギー消費の6割は基礎代謝によるエネルギー消費。基礎代謝量は年齢や性別の影響を受けるが、筋肉量が多いほど基礎代謝は多くなる。また筋肉は糖質を貯蔵したり利用する量が多いため、血中の糖が効率よく利用される。
エネルギー消費配分
②筋肉量が多いほど運動によるエネルギー消費が増加
1日のエネルギー消費の割合は基礎代謝量が最も多いが、次に多いのが活動によるエネルギ-消費量。エネルギー消費量が最も多いのは骨格筋で全身の2割以上を占めている。
③運動(有酸素運動)・身体活動量が増えることで高血圧・脂質異常症の改善
④心肺機能の向上
筋肉量を維持することで免疫機能が高まり肺炎などの予防に繋がる。
⑤精神的な健康維持
ストレス発散・気分転換
⑥筋肉は糖の貯蔵庫としての役割を果たしている
筋肉は血中のブドウ糖をとりこみ血糖をコントロールするとともに、とりこんだブドウ糖をグリコーゲンに変えて貯蔵する大事な役割を果たしている。
⑦筋肉を維持することでサルコぺニア予防
筋肉量が急激に減少し筋力が低下することで身体機能が低下した状態を、サルコぺニアという。近年、サルコペニア(筋肉量の減少)と肥満(体脂肪の増加)が重なった状態である「サルコペニア肥満」が増えていることが問題視されている。 サルコペニア肥満は年齢が上がるほど増え、基本的に女性の方が筋肉量が少なく脂肪量が多いため、サルコペニア肥満になりやすい。

Ⅱ.筋肉量を増やす・維持するための食事
私たちの身体の中では、絶えずたんぱく質の合成と分解を繰り返している。特に高齢者の場合、加齢によってたんぱく質の分解される量が合成される量よりも多くなりやすいため、筋肉が減る傾向にある。筋肉を合成する力を高めて筋肉量を維持するとともに、今現在ある筋肉を失わないことが重要である。
筋肉は「作る」と「壊す」を繰り返している
食事や運動により、体たんぱくを作る(合成する)働きが作動する・・・体たんぱくの同化という。
体に炎症があったり、酸化ストレス、グルココルチコイドなどの刺激により、たんぱく質分解酵素が働き、体たんぱくを壊す(分解する)・・・体たんぱくの異化という
若い時・・・体たんぱくの同化体たんぱくの異化
高齢になると・・・体たんぱくの同化体たんぱくの異化

①エネルギーは不足なく運動前に補給する
エネルギー不足の状態で運動すると、低血糖を起こすことがあり危険。 また、不足したエネルギーを補うために、自分の体たんぱく質をエネルギーの材料として使ってしまい、体たんぱくの異化がおこる。 朝ごはんを食べないで、運動をする、家事を済ませる習慣がある場合は、筋肉が減りやすい。
②たんぱく質の中でもできるだけ良質なたんぱく質を多くとる
たんぱく質はいろいろな食品に含まれており、例えば米やパンにも含まれている。 しかし、これらに含まれるたんぱく質はエネルギー源として使われやすく、筋肉を合成するための良質なたんぱく質とは言えない。 良質なたんぱく質とは、体内でのたんぱく質の合成率が良いたんぱく質で、食品としては肉・魚・卵・大豆・乳製品に含まれている。

良質なタンパク質食品の適量の目安>
良質なたんぱく質…肉・魚・卵・大豆製品・乳製品に含まれる
目安量:肉・魚・卵・豆製品を1日に自分の手のひらサイズ

タンパク質食品目安 ➡ 主食と主菜と副菜を揃えて食べる
  パンだけ、ごはんと漬物や佃煮だけ、麺だけで主菜のない食事はたんぱく質不足のもと
➡肉や魚は加工品より生の素材を使う
ウインナー(肉の加工品)より脂身の少ない肉
さつま揚げ(魚の加工品)よりも魚の切り身
➡ 乳製品は1日に牛乳1杯、またはヨーグルト100g程度
糖質や脂質も多く含むので、とりすぎに注意
➡ 肉は赤身のところを中心に選ぶ
脂身が多い肉は、脂質(エネルギー)のとりすぎになりやすいうえ、たんぱく質は少ない部位なので、赤身の多い部位を選ぶ。
➡卵は週に2~3個が目安
食べすぎは悪玉コレステロールが増える原因となります。

③BCAA(ビーシーエーエー)をとる
たんぱく質を構成している物をアミノ酸という。アミノ酸の中でも体内で合成されないアミノ酸を必須アミノ酸といい9種類ある。その中でも「バリン・ロイシン・イソロイシン」をBCAAという。BCAAは、筋肉に多く含まれているアミノ酸で、筋タンパク質を合成しやすく破壊しにくくする働きがある。特にロイシンは、筋肉のタンパク質の合成促進の効果がある。
ロイシン補給にお勧めの食品…豚肉ヒレ、もも肉・鶏むね肉、もも肉・羊肉のロース・牛肉の赤身・鰹・鯵・鯖・鮭
②筋肉の合成を応援しながら、骨を丈夫にするビタミンD
腸管でのカルシウム吸収を促進→骨形成
筋肉の合成を促進→筋肉量アップ

新情報
<ビタミンD摂取基準が2020年から大幅アップされる!!>
2015年日本人の食事摂取基準 成人男女5.5㎍/日
※2020年の食事摂取基準 約1.5倍の8.5㎍/日
ビタミンD補給にお勧めの食品…魚介類(鰯・鰹・鮪・鮭)干し椎茸・きのこ類・きくらげ(白、黒)
ビタミンDは、日光にあたると紫外線の働きにより皮膚でも作られる。日本人の食事摂取基準では皮膚でビタミンDは5.5㎍作れることを前提としているので、日光浴が大切となる。

自分自身の筋肉量が適正な範囲かどうかを見極めるのはなかなか難しいですが、日常生活を振り返って、「食事のみでダイエットをしていた」「以前に比べて疲れやすくなった」「膝痛・腰痛」「20歳台の頃より減量しにくくなった」等、筋肉量が減っているサインは色々あります。筋肉量を維持することは年齢に関係なく、やればやるだけ身になるものです。筋肉の大切さを知り筋肉を維持、強化させていきましょう。

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